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ラーメンを食べた

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妻と、ラーメンを食べに行きました。

ラーメンは体に良いとは言えない食べ物なので、栄養専門医として私は誇り高く「ラーメンは多くて月に一回まで、どうしても食べたい時だけは三日に一回」という鉄の掟を自らに課しているのですが、今回は当直明けという特別な事態、自分にとって最高のご褒美を与えても良い日になるので、まあまあ連続でラーメンを食べました。

で、当直明けのはらぺこな感じで行きつけのラーメン屋につきました。少しだけリッチにほうれん草のトッピングを追加し注文、妻と二人でワクワクと椅子に座ってラーメンを待ちます。しばらくして、無愛想な大将がゴトっと置いたラーメンからは、真っ白な湯気に乗って甘い香りがふわりと漂い、私の鼻腔をくすぐります。割り箸をパキンと割り、いざ、実食です。

口に入れた瞬間。あれ?と思いました。

味が、薄い。いつもの濃厚なスープの味が来ない。のっぺりとした食感だけが漂って、旨味というものが感じられない。もちもちとした麺の食感はそのままですが、そこに交わるスープがあまりにも弱いのです。なんてことだ。大将・・・これ今日、スープ薄めすぎたんじゃないですか・・・!今日のラーメン、めちゃくちゃ薄いですよ・・・!

妻に今日味が薄いよねと伝えたかったのですが、そこのラーメン屋の大将はとても無愛想なところでして、妻に「なんか今日味薄いね」なんて言ったところを聞かれようものなら、出来上がったばかりのラーメンを振りかぶり脳天から叩きつけられる可能性すらありますので、何も言えません。私は止むを得ず、ただ、そこに置かれた胡椒、赤味噌などを駆使してスパイス風味を追加して何となく味をつけながらラーメンを食べていました。私は悲しくなりました。信頼して通っていたこのラーメン屋に、こんなことが起こるなんて。私を信じてついてきてくれた妻も、味薄いなあと内心悲しい思いをしていることでしょう。当直明けのご褒美のつもりが、こんなことになるなんて・・・。

 

店を出た私は、暗い表情で妻に言いました。「今日のラーメン、薄かったね」と。すると想定外に、妻は「えっ?全然感じなかった、おいしかったよ!」と言いました。その目は一点の曇りもない、ラーメンおいしかったぜいという光に輝いている。あれっどうして?俺のだけ薄かった?と思ったそのとき、私はハタと気がついたのです!

私はいつも液体歯磨きみたいなやつで、朝、お口くちゅくちゅモンダミンみたいなことをするのですが、今日はそれが長めにやってた勢いで、なんか口が痺れたなあと思ったのです。あれだ・・・!あれが俺の味覚を麻痺させているんだ!

そう思ったら、ラーメン屋の大将は悪くない。そして悲しませてしまったかと思われた妻も、美味しいラーメン最高だったワイとなっている。良かった。それなら何の問題もない。誰への信頼も失わず、誰も悲しませることがなかったんだから。私は笑顔を取り戻しました。遠ざかるラーメン屋を背後に、心に誓うのです。また来よう、そしてそのときは、薬用歯磨きは控えめにして、と。