文字だけのブログ

文字だけしか使いたくない時に使うブログ

1滴の採血でわかるコロナウィルス検査

スポンサーリンク

 パスタにビール入れて作ったら美味いんじゃないかと思ってウキウキしてやってみたら、すごい苦かった。

 さて、コロナウィルスの検査といえばPCR検査が有名だけれど、ウィルスに「感染している/いない/感染したことがある」を調べる検査は、採血検査によるIgG/IgM抗体検査のほうが一般的だと思う(インフルエンザ除く)。

 実際、新型コロナウィルスIgG/IgM抗体検査キットの開発も進められていて、すでにそれなりに高い感度と特異度のものが作られているようで、試験的な導入は始まっているらしい。これは採血でわかる検査で、PCRを回すよりも簡便なはずだ。何より、この検査は「今感染しているかどうか」だけでなくて、「既感染かどうか」もわかる。つまり一度コロナウィルスに罹患して、治ったことがあるのか、その人がコロナウィルスに対して免疫を持っているかがわかる。

 軽症の人に検査を拡げると、検査をするために集まる「密集」の問題や、医療リソースの問題があるけれど、そもそもすでに病院にいる医療者に検査をする分には密集の問題は無いし、スタッフ全員に採血をすることは多分それほどの苦労ではないと思う。で、あればスタッフがどの程度の割合頻度で抗体を持っているか調べることは意味があるのではないか。

 既感染パターンをとった医療者は、予防接種の無いコロナウィルスに対して、現時点で最強の防御力をもった状態で診療に当たることができる。2度感染する可能性も無いわけではないが、少なくとも確率は下げられる。理想論は、「医療者は感染しない状況での治療を行う」ことで、感染症の専門医もそう謳うけれど、現実的には医療者の感染リスクは非常に高い。そんな中で、一度抗体を持ったスタッフが前面に出て、未感染の医療者、場合によっては高齢や持病を持つスタッフは、その他の疾患の治療に専念する、そういうチーム分けが考えられないだろうか。免疫を持つ医療者が「俺…もう一度、乗り越えてるからさ」と超然とした顔で前線に立ち、免疫のない医療者は「あとは頼むぞ…俺たちは、この国を守る」と、一般の入院患者を診るわけだ。

 ただ、それを行うのは時期が必要で、もっと世界に蔓延したタイミングでないと意味がない。さすがに現時点で、日本の医療者の多くが既感染パターンをとることはないと思うから。もしすでに、多くの医療者が実は感染していて、症状がなく、かつ感染力のあるままで仕事をしていたら、入院患者や外来受診者から肺炎患者が続発するはずだ。

 ただ、今の医療者はマスクや手洗いを徹底しながら仕事をしているので、仮に無症状キャリアとなっていても、患者に感染させずに医療ができているのかもしれない。しかし、今の時点では、「無症状キャリア医療者が感染力がない」証明は難しい。そんな臨床実験ができない。であるから、やはり無症状でも陽性とわかった医療者は休むしかない。また、すでに治癒済みの既感染パターンが出たとしても、いつかは感染していたはずだからと、遡って診療した患者や接触した人を全員調べるのかということになって、余計に混乱しそうだ。

 だから、やっぱり「全員調べる」というのは、もっと世界にウィルスが蔓延して、感染して治癒済みという状態の免疫バリアがある人たちが、それなりの人数揃っている世界において行うべきかもしれない。それがいつ来るのか、実はもう来ているのか、そこまで蔓延せずに収束できるのか、それは全然わからないけれど。

 ちなみに、このIgM/IgGの検査、器具が揃えば、1滴の採血で、10分くらいで行えるらしい。簡便、速い。だから、コロナウィルスが収束しなければ、この検査が爆発的に広まるかもしれない。なんなら医療に限らず、「毎日この検査を出勤時に行って、陽性なら帰宅、陰性なら仕事」という社会が来るのかもしれない…。そんな社会、嫌だけれど…。

2020/03/31追記

抗体が出来たら最強の防御力、って書きましたけれど、抗体が出来た方が実際もうコロナにかかりにくくなるという証明はされてないわけで、検査で既感染だから大丈夫とも言えないですね。この検査の感度、特異度もはっきりしていないという意見も多く、どの程度広まるものかわかりません。少なくとも上記のような出勤時に検査して…というような使い方は難しいようです。