神様に対する立場は色々あります。
ジョン・ヒックの「宗教と哲学」という本によれば、神様に対する立場として、
「無神論」
「不可知論」
「懐疑主義」
「自然主義」
「理神論」
「有神論」
「多神教」
「単一神教」
「汎神論」
「汎在神論」
「一神教」
とたくさんの分類があるようです。有神論と無神論だけだと思ってました!
で、私がそのうちどの立場に近いかなと思いますと、私の考えは「神様はいるかもしれないし、いないかもしれないし、それはもうわからない」というものでして、それはこの列挙の中では「不可知論」というものに近いようです。
「不可知論」というのは、引用しますと、
不可知論は文字通り「不-可知-論」であるが、この文脈においては神の存在を肯定したり、否定したりする十分な理由をわれわれは持ち合わせていないとする信念である。(宗教の哲学:ジョンヒック 筑摩書房)
ということらしいです。
つまり、神様が存在するかしないのか、わからないということ。
でも、この論はただ「わからない」ということではなくて、「わからないのが正しい」みたいなニュアンスを含みます。つまり神様がいるかいないのか、分かる人はおかしい、ということです。
その考え方を知って、これは私の医学に対する立場と似ていると思いました。
この薬が利く、効かない、この食べ物は体に良い、この健康食品は痩せる、とかそういうことを判断するときに、「効く」「効かない」と言えることもありますが、圧倒的に「わからない」ということがおおいのです。特に食べ物、栄養、健康食品なんかに関しては。なぜなら、きちんとしたデータが無いからです。
この食べ物が体に良いはず、だってこんな良い成分が入っているんですもの、という話はありますが、実際に体に良かったか、寿命がのびたか、それを50年食べたらどうだったか、というデータはほとんどの食べ物、健康食品でありません。様々なバイアス 、交絡因子が絡みますし、プラセボ効果も露骨に影響します。質の良いデータをとることが非常に難しい分野です。
ですので、私の立場は、多くの食事や健康食品に関しては、「それが体に良いか、わからないし、わかっている人がいたらおかしい」という食事に対する不可知論者です。なんだかめちゃくちゃ弱そうで、役に立たなそうな立場ですが、無いことを証明するのは、有ることを証明するより難しいことです。だからそれは、無知なり無力であることとは対局にあるはずだと思って、自信を持って「わからない」と言えるように頑張ります!