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ラーメン職人の言葉

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「ラーメンヘッズ」という映画を見ました。

なかなか考えさせられることが多くて、新年最初に見る映画としては良かったなと思いました。

 

映画は、「とみ田」という、ラーメン屋さんのドキュメンタリーです。

自分にも店員にも厳しい、店主の生き様には驚くものがありましたが、一つ印象的なエピードがありました。

その店主が言うには、仕事中は、昼ごはんを食べる時間も無く、またトイレに行くことすら無いそうです。「そういう体になってしまった」と言っていましたが、おそらくお腹も空かないし、尿も作られないのでしょう。

それだけアドレナリンが出ているんだと思います。戦闘モードの生き物は、交感神経が活性化して、興奮ホルモンが出て、お腹も空かないし、トイレも遠のくのです。

私も、ここまで自分に厳しくはできませんが、朝から晩までぶっ通しで外来をするときは、同じようにお腹も空かないし、トイレにも行きません。日本一の職人と、少しは似た気持ちで仕事に挑めているのかもしれないと嬉しくなりました。

 

でもそれよりも、私がハッとしたのは、わずかな時間ですが紹介されていた「とみ田」とは違うラーメン屋さんの大将の言葉でした。70歳を超える大将は何か達観したように、こう言っていました。

 

「ラーメンは、医者と一緒。自分に合えば名医だし、合わなければヤブ医者だろう」

 

そういう考え方もあるか、と思いました。どんな患者にも合う医者でないといけないと、何となく思っていましたが、そうでなくてもいいのかも?合う、合わないくらいの気持ちで考えてもいいのかも?

 

ただ、ラーメンと医者が違うこともあります。

ラーメンは合わなければその店に行かなければいいのですが、医者はそう簡単には選べないのです。入院したら、その時にいた医者が主治医になります。地域に、その病気が見れる医師はこの人しかいない、ということも多々あります。

そう思うと、やはり医者は、味噌ラーメンも、醤油ラーメンも、豚骨ラーメンも作れなければいけない。合わない人を諦めるわけにはいかず、全ての人を満足させるラーメンを出せるようにならないと行けないのでしょうか。そう思うと少し自信がなくなります。

 

考えても、その答えは正直わかりません。でも、その何十年もやってきた店主は、とても良い笑顔で達観したようにそう言ってました。

私もいつか同じような年になったときに、同じ仕事をしていたら、同じような笑顔で、同じではないかもしれないけれど、何か答えを言えるようになっていたいものだと思いました。

 

映画「ラーメンヘッズ」日本公式サイト

ラーメンヘッズはアマゾンプライムで見られるので、ラーメンが好きな人、仕事に刺激をもらいたい人は見てみてください!