おにぎりを購入しようと、病院の中のコンビニに入りました。
お昼時の行列に並んでいると、私の一つ前に並んでいた小さなおばあちゃんが、レジの前で一生懸命に注文をはじめました。
おでんです。
「大根一つと・・・たまごと・・・いやいや、大根は、二ついただこうかねえ・・・」
身長よりも、ぎりぎり高いところにあるおでんの具を、背伸びするかのようにして眺めながら、一生懸命に考えています。
おばあちゃんがゆっくり選んでいくおでんは、80歳は超えているようなおばあちゃんが一人で食べるには、少し多い量と思いました。
これはおそらく、自宅で待つ家族の分も考えているのでしょう。その分、家族が食べたいだろう物を考えて、悩んでいるのだと思います。
混雑したコンビニなので、熟考モードに入ってしまったおばあちゃんに、店員さんがソワソワしていますが、なんだかそのおばあちゃんのおでんを選ぶ真剣さに、私は応援したい気持ちになりました。
きっとこの後、おばあちゃんは、考え抜いた末に購入したおでんを大事に持って帰り、ご家族、旦那さんでしょうか、に、言うわけです。
「おでん買うてきたで」
そして二人で、おでんと、お茶か何かを用意して、食べるわけです。
「大根よう滲みてるなあ」
「タコ、食べるか?」
とか言いながら。
昼下がりのテレビなんかを見ながら、のんびりおでんを食べるわけです。
そういう姿を勝手に想像していたら。
なんだか普段私たちが言っている、「高血圧なんだから塩分は控えないといけないよ」とか、「甘いおかしはダメだよ」とか、そういうことを超えた、大事なことが食事にはあると思いました。
食事を一緒に食べた数だけ家族になれる、そんな話を聞いたことがあります。
私は病院で食事指導をすることも多い立場ですが、その中で、ついつい「何をどれだけ食べるか」ということばかりに集中しがちです。
それももちろん大事なことですが、その人にとって、食べることはどういうことか、それを考えることも大事なことだなあと思いました。
「おばあちゃん、ここのコンビニのおでんは、ちくわぶが最強」
そんな食事指導があってもいいんじゃないか・・・と思いました。
いろんなところから怒られそうですが。